大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和23(れ)1454 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人鍛治利一の上告趣意第一点について。

原判決は、被告人の判示第一の竊盗の事実を認定する証拠として、被告人並びに

原審相被告人Aの各予審訊問調書中夫れ夫れ第二回乃至第五回を通じて判示同旨の

右供述記載を挙げている。よつて、右予審調書をしらべて見ると、被告人は第二回

予審訊問調書において「彦根の裁判所附近で靴等を盗んだこともあります」と述べ

ていることがわかる。さらに、右Aは、同第四回訊問調書において、判示第一の竊

盗に関し、被告人の所為についても、判示に符合する事実関係を詳細に述べている

のであつて、これによれば前示被告人の供述は右第一竊盗の事実に関するものであ

ることは極めて明白であり、右被告人の供述は結局判示同旨の供述に帰着すること

は前示予審調書自体において、これを認むるに難くないのであるから、原判決は所

論のごとく虚無の証拠を採つて犯罪を認定したものということはできないのである。

論旨は理由がない。

同第二点について。

原判決は、所論判示第二、第三の事実についても、被告人の予審廷における自白

の外、原審相被告人Aの予審調書中、右第二、第三の事実全般に亘る判示同旨の供

述記載、及び被害者B同Cの死因については、それぞれ医師の鑑定書を証拠として

これを認定しているのであつて、かゝる場合は、憲法第三八条第三項にいわゆる「

自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合」に該当しないことは、当裁判

所の判例の示すところによつて明白である。(昭和二三年七月七日言渡、昭和二二

年(れ)第一八八号事件大法廷判決、昭和二三年七月一四日言渡、同年(れ)第一

一二号事件大法廷判決、参照)論旨は理由がない。

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よつて、刑事訴訟法施行法第二条、旧刑事訴訟法第四四六条に従つて、主文のご

とく判決する。

右は全裁判官一致の意見である。

検察官 岡本梅次郎関与

昭和二四年二月八日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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